片丘支所の桜
片丘支所の入口にも片丘桜が植栽されています。
支所の片丘桜は、令和2年度に2代目として植栽されたものです。
今年も元気に花を咲かせました。
カタオカザクラとは
カスミザクラの突然変異種で、花柄、葉柄に細毛があり、花包が葉状化し、植えて1年目の幼木でも花が咲くのが特徴です。1945(昭和20)年5月、東大理学部付属植物園日光分園主任を務めた松本市出身の久保田秀夫さん(故人)が高ボッチ山麓の学有林(庫裏平地籍)で発見しました。終戦後、日光分園勤務に伴い同園に1本を移植し、1952(昭和27)年、発見場所の片丘の地名を付け和名は「カタオカザクラ」と命名し発表されました。ところが1960(昭和35)年、自生地のカタオカザクラは山火事で全滅してしまいます。1979(昭和54)年頃、「片丘の名が付いた桜を地域に再びよみがえらせたい」という熱い願いに応え、久保田さんは、同園に残る唯一の木を穂木として茨城県の結城農場に持参しました。接木による増殖が成功し、1984(昭和59)年に3本が塩尻市役所前庭などに移植されました。1991(平成3)年6月、カタオカザクラの自生地を永遠に遺し、発見者の久保田秀夫先生の功績を讃えるため、自生地の庫裏平地籍に「片丘ざくら之碑」を建立します。翌年の平成4年4月、「片丘ざくらを守る会」、「久保田先生教え子の会」らが母体となり「カタオカザクラ保存会」を結成しました。当時の小澤会長を中心に「カタオカザクラでふるさとを埋め尽くす」という夢とロマンの実現に向け増殖活動がスタートし、保存会は講習会を何度も開き、実生、挿し木、接ぎ木と毎年試行錯誤の挑戦が続きます。
突然変異種のカタオカザクラは、活着しにくく発根しずらい性質があり、増殖活動は困難を極め、全国的にも例がない桜のプロジェクトです。 苦節18年、2010(平成22)年5月現在、保存会員の不屈な精神と努力で600本を超えるカタオカザクラを育てました。ふるさとの自然と人を愛し、感謝する温かな会員たちの心が、一時は絶滅の淵にさらされたカタオカザクラの命を救い続けています。