※今回の作品は、11月8日、9日の奈良井灯明まつりに展示させていただきます。文字は書家「春草」さんが書いてくださるので、ご興味のある方は昨年の灯明まつりの記事をご覧ください。掲載が遅くなってしまった方、申し訳ありません。

ここは奈良井宿の水辺公園です。青空の下、落ち葉を踏みながら歩き、ここに座った人は何を想い、何を語り合うのか?恋人、家族、親友、動物、一人、どんな設定で短歌を作るのか、作者によって全く違うシチュエーションになりそうで、どんな作品が集まるのか楽しみです。
皆さんの短歌作品
①人生の空白期間に朝早く母と歩くが先が見えない
作者:二木紀美子さん 長野県塩尻市
七音コメント:自分が思うようには進めず途方に暮れる時間、自分だけ止まってしまっているような「空白時間」。誰かのために一緒に歩く時間、歩いてもらう時間。そこに優しい会話があったなら、空白時間もいつか、「優しい色の時間」になれるのかな。鮮やかな紅葉と青空の風景を見ているのに、作者は「空白」を短歌にしていることに、才能と今のお気持ちの両方を感じました。
②この間集めた落ち葉濡れている芋大会に拾い直そう
作者:二木紀美子さん 長野県塩尻市
七音コメント:集めた落ち葉そのものが、もしかしたら作者の気持ちなのかな?集めた時の気持ちは明るかったのに、涙で濡れてしまった気持ち。やっぱり焼き芋大会楽しい気持ちで参加したいから、気持ちを切り替えて行きたいな!そんな心の整理を感じました。
③辛き時 心鎮めし お気に入り 水辺公園 秋の装い
作者:竹の子さん 長野県塩尻市
七音コメント:辛い時って、一人で静かに過ごしたくなりますね。お気に入りのベンチ、お気に入りの景色、心を落ち着かせたり、休ませたりする場所があるって素敵なことです。紅葉を眺めて、自分の心も季節のように切り替えて行けたら良いですね。
④諸々に 疲れ訪ねし 奈良井宿 恋人つなぎ 秋の約束
作者:竹の子さん 長野県塩尻市
七音コメント:宿場町のぶらり旅で、日々の疲れを癒せると良いですね。「秋の約束」はどんな約束だったのかな?なんて想像を膨らませることができる作品です。「恋人つなぎ」そのものが約束だったのかな?とも読めますね。どちらにしても、幸せな時間が感じられる短歌です。
⑤日が暮れて 街道照らす 燈明は 僕の心も ほのかに照らす
作者:竹の子さん 長野県塩尻市
七音コメント:これは写真ベンチで休んだ後、燈明の灯る街道を歩くイメージで読むと良いですね。燈明の柔らかい光は、田舎の宿場町をより風情ある空間にしていきます。燈明の柔らかい光に灯された作者の心の穏やかさ、癒しの時間、ゆっくりと時が流れる様子が感じられますね。
⑥公園は 大好き散歩 秋の日に 柴犬ムサシ 今は天国
作者:竹の子さん 長野県塩尻市
七音コメント:あえて「柴犬ムサシ」と名前を入れたのがとっても効果的で、ムサシの嬉しそうな顔を読み手が思わず想像し、フフフッとなります。ところが、最後の「今は天国」で、愛犬との思い出に浸る作者の姿にシーンが変わり、作者の想いがギュッと深く感じられますね。
⑦ひとり坐すベンチのかげに紅葉舞う親子のかげに昔のわたし
作者:たたみやさん 長野県朝日村
七音コメント:視点が「ベンチの影」なのが、なかなか見つけられない部分で、凄いです。「ひとり」「かげ」「わたし」をあえて平仮名にすることで、寂しさや懐かしさがより際立っていて、漢字と平仮名の使い分けが上手な作品ですね。落ち葉にだけ色を感じる、素敵な作品です。
⑧ベンチにはドングリ小人並びおりままごと遊びの児らは森精
作者:たたみやさん 長野県朝日村
七音コメント:なんて可愛らしい短歌なんでしょう。ドングリ小人、昔はよく作ったものです。おままごとをする子どもの姿を「森精」と表現していることで、愛らしさや純真さを感じることができます。「可愛らしさ」にテーマが絞ってあることで、しっかりとした世界観ができあがっています。
⑨二人乗り落ち葉を巻いて宇宙へと 向かう背中の広さまぶしき
作者:たたみやさん 長野県朝日村
七音コメント:この「二人乗り」って、バイクですか?私はベンチでそのまま宇宙まで飛んでいく姿を想像し、絵本の世界みたいで素敵!って思いました。「落ち葉を巻いて」もカッコイイ!。「背中の広さ」にたくましい大人の背中を感じるので、やっぱりバイクなのかな?どんな乗り物でも、大好きな人の背中を見ながら宇宙に行けたら最高です。遊び心満載で、こんなファンタジーな作品が私は好きです。
⑩遠き山おもいを寄せる亡き母の独りベンチで心で語らふ
作者:ピーちゃんさん 長野県塩尻市
七音コメント:心の中で、今は亡き母と語り合う作者の姿、そして作者を包み込むような紅葉の赤と黄色、秋空の青。どんな思い出を心に浮かべながら、お母さんとお話しているのかな?こんな綺麗な景色を眺めているから、きっと温かな優しい想い出なんろうな、なんて感じる短歌です。
⑪肌寒さ感じず友と寝そべリて陽だまり暖き落ち葉のじゅうたん
作者:ピーちゃんさん 長野県塩尻市
七音コメント:落ち葉の絨毯に一緒に寝っ転がってくれるお友達がいるなんて、とっても幸せですね。紅葉の頃はもうすっかり秋で、外は寒いですが、陽だまりの落ち葉は温かそうに見えます。あえて平仮名で「じゅうたん」にしたことで、友達との無邪気さが感じられて良いですね!
⑫起き抜けに 子らの声する 公園は 今も続きし ラジオ体操
作者:竹の子さん 長野県塩尻市
七音コメント:こんな綺麗な紅葉を眺めながらラジオ体操ができたら、気持ち良いでしょうね。夏休み以外も公園で続けられるなんて、想い出だらけの公園!元気にラジオ体操をする子ども達の姿と、それを遠くに眺める作者の、両者が感じられる作品です。子どもって元気!
⑬ベンチから 野山の錦を眺めれば 心も色づく 一目千両
作者:Julyさん 長野県塩尻市
七音コメント:「野山の錦」で華やかに色づいた山々を感じさせ、それを見た作者の心も同じように色づいていく様子が上手にまとめられています。また、ベンチからの眺めを「一目千両」と表していて、自然の作り出す美へ価値の高さ、眺める時間への満足度を感じることができます。
⑭子育ての頃は一人になりたくて今日は落ち葉に囲まれたくて
作者:川村聡子さん 長野県松本市
七音コメント:なんだかとってもとっても気持ちが分かります。子育て中って、お母さんは自分だけの時間がなかなか作れないから、「一人になりたい」って思います。囲んでくれた落ち葉はきっと、お母さんを優しく包んでくれます。そんな時間ができますように、、、。同じ気持ちの誰かの心を、きっと救ってくれる短歌です。ありがとうございます。
⑮遠巻きにあなたを見てたベンチから今も見ている空の向こうを
作者:逆井誠さん 愛知県日進市
七音コメント:遠巻きってことは、近くには行けなったんですね。「見てた」だから、過去形なんですね。そして今、見ているものは「あなた」じゃなくて、「空の向こう」なんですね。感情は何一つ書いていないのに、作者の切ない気持ちがちゃんと伝わってくるから、凄いです。う~ん、、、切ない!!!
⑯あの色は紅葉じゃなくて枯れ木だねそうねいかにもあなたらしいよ
作者:逆井誠さん 愛知県日進市
七音コメント:痛烈な返し?とも思ったのですが、そうじゃなくて、枯れた渋さがあなたのように素敵だね、って意味かな。紅葉の華やかさより、渋さのが好きな人もいます。枯れた人って、誉め言葉にも使います。どっちだ?と、読者を苦笑いさせる作風が、さすがです。
⑰もう少しここにいさせて分かるでしょそう急かさないで秋のおひさま
作者:逆井誠さん 愛知県日進市
七音コメント:秋は日が暮れるのが早くなります。もう少しここに居たい理由を思わず色々と想像したくなる作品ですね。一緒にいるのは誰なのか、今どんな状況でここにいるのか。「おひさま」を平仮名にしていることで、太陽が身近に話しかけられるような存在に感じられますね、上手です!
⑱銀杏散る 車いす押し公園へ またはないのにまた来ようねと
作者:玲生さん 長野県塩尻市
七音コメント:最後の「またはないのに」で、状況が分かります。そして、銀杏が散ってゆく様から、命なのか、二人の関係なのか、が、散ってゆく状況なのを感じることができます。「また来ようね」の言葉に、作者の優しさや切なさが感じられ、胸がいっぱいになる作品です。
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